2010年6月28日付けで、Bilski事件に最高裁判決が出されました。Court of Appeals for the Federal Circuit(連邦巡回控訴裁判所: CAFC)での判決を維持し、Bilskiケースに特許性なしの判決を下しました。
CAFCでの判決が出るまでは、発明が”useful, concrete, and tangible result”を生むものである事が、特許性に関する米国特許法§101の理解とされていましたが、CAFCの判決では、発明の工程が、
1) It is tied to a particular MACHINE or apparatus, or
2)it TRANSFORMS a particular article into a different state or thing
である必要があると判断しました。
そして、CAFCは、この”machine-or-transformation”テストと呼ばれる特許性の判断基準を採用し、有形ではないプロセスに関する特許に関しては、この”machine-or-transformation”テストに合格した場合にのみ認められるとしました。つまり、CAFCは、「特定の機械または装置に関連付けられている」もの、または「特定の物を異なる状態または物に変換する」ものであれば特許性が認められると判断しました。
一方、今回の最高裁の判例要覧を見ると、本ケースでは特許性に関し、以下3つのポイントが審議されています。
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it is not tied to a machine and does not transform an article;
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it involves a method of conducting business; and
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it is merely an abstract idea.
これら3つのポイントに関しては、以下の意見に達しています。
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”machine-or-transformation”テストは多くのケースで適応可能だが、これだけが唯一のテストとするべきではない。
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§273には ”method (方法)”が定義されているが、ビジネス方法は、少なくともある状況ではある種の”方法”であり、§101の規定に従えば、特許性はある。
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今回の発明は、あるmathematical algorithmに依存をした発明である。このalgorithmは、今回のクレームで限定されていた石油化学製品および石油の精製分野のみに使われるものではない。このmathematical algorithmが発明の要因であることにより特許性がないと判断されているのではなく、このmathematical algorithmを先行技術と想定した場合に、特許性のある発明が含まれていないことが問題であるとし、特許性はなしとする。
上記の通り、Bilskiのケースに関しては、3)がネックとなり、当該発明は"アイデア"に過ぎないため、特許性なしの判決に至りました。つまり、最高裁判所は、CAFCの考え方を支持せず、上記1)の通り、"machine-or-transformation" テストはプロセスの特許性を判断する際の唯一の手段とはいえない、と述べています。
尚、Bilski出願のクレーム1は以下の通りです。
1. A method for managing the consumption risk costs of a commodity sold by a commodity provider at a fixed price comprising the steps of:
(a) initiating a series of transactions between said commodity provider and consumers of said commodity wherein said consumers purchase said commodity at a fixed rate based upon historical averages, said fixed rate corresponding to a risk position of said consumer;
(b) identifying market participants for said commodity having a counter-risk position to said consumers; and
(c) initiating a series of transactions between said commodity provider and said market participants at a second fixed rate such that said series of market participant transactions balances the risk position of said series of consumer transactions.
CAFCの判決が示した”machine-or-transformation”テストというプロセスの特許性に係る判断基準に対して、ソフトウェア業界からはこのテストが抱える問題点を訴える声があがっていました。しかし、上記1)にある通り、最高裁判所が、”machine-or-transformation”テストだけが特許性の判断基準ではないとの判決を下したことより、ソフトウェア業界からは安堵の声があがっています。
また、今回の最高裁判所による判断は、上記3)の通り、本件特許出願は抽象的な概念に特許性がないという判例に基づいて却下される、としたものであって、特許可能なプロセスに該当するものが何であるかについては、何ら新たに定義するものではありません。つまり、ビジネスモデル特許について一律的な判断基準を示すものではありませんでした。従って、今後、ビジネスモデル特許を出願する際には、「その出願内容が抽象的な概念ではないこと」という要素を追加する必要があるということがいえると思います。
最高裁の判例要覧にご興味のある方は、以下をご覧ください。
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